2025.04.26
フローはんだ付け用フラックスとはんだ付け品質について
今回は、現在、実装業界で使用されているフローはんだ付け用フラックスとはんだ付け品質について説明します。Pbはんだ時代には、各業界においてロジン系フラックス(RA、RMAタイプ)、水溶性フラックス等、多種多様なフラックスが実装基板の用途に応じて使われていました。Pbフリー時代になり合金特性(TH濡れ上がりが悪い、未はんだ&ブリッジが多いなど)に応じてフラックス特性が改善されて、民生機器や産業機器を問わずほとんどがRAタイプのロジン系フラックスが無洗浄にて使用されるようになりました。また、固形分量はPbはんだ用フラックスでは低残渣フラックス(固形分数%~10%)がありましたが、Pbフリー用は12~15%前後と多めになっています。
フローはんだ付けの品質は、基板設計や噴流波(1次、2次噴流形状)及びフラックス種、塗布量によるところが大きく、特に、フラックスに起因するブリッジ、未はんだ、濡れ不良は発生率が高いのでフラックス種の選定や塗布量は重要です。フラックス塗布量と噴流波設定のポイント、フラックス塗布量と不良率の関係を以下に示します。
①フラックス塗布量:ブリッジが増加しない範囲でなるべく少な目に塗布。
②1次噴流:はんだが被らない程度になるべく高めに設定し凹凸波を確実に
当てて滞留ガスを追い出して未はんだを抑制させる。
③2次噴流:フラット波にして浅目に当て、ピールバックゾーンの離脱角度を
小さくしてブリッジを抑制させる。

Pbフリーはんだ用フラックスはPbフリー導入初期を第1世代として、低AgはんだやSn-Cuはんだ用フラックスとして特性改善が進み、現在は、低固形分、高耐熱性フラックスなど第3世代となっているようです。
Pbフリーはんだ導入以降、はんだ付け条件の高温化に伴いOSP処理の耐熱特性改善が進んで、高密度両面リフロー+フロー基板を使用する民生基板や車載のECU基板では、レベラーの膜厚バラツキや濡れ不良対策としてはんだレベラー処理からOSP処理基板の採用に切り替わっています。
はんだレベラー基板の濡れ不良について、リフロー品質を優先してレベラー膜厚を薄くする傾向があり、これが影響して両面リフロー時にTHランドや内壁が酸化劣化してTH濡れ上がり不良やはんだ弾き(ディウェッティング)が発生しやすくなります。この様なレベラー基板では、現行使用のフラックスの活性力を残渣信頼性が問題ない範囲でちょいアップしてみたり、やや活性力の強い低AgはんだやSn-Cu合金用のフラックスを使用するのも良いでしょう。レベラー基板の濡れ不良でお困りの方はトライしてみると良いでしょう。
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