2024.10.12
新機種のフローはんだ付け条件設定について
これまで、「フローはんだ付け条件設定」関連では、「No.2フローはんだ付け条件設定と管理」、「No.18フローはんだ付け用マスクパレット」、「No.30フローはんだ付けにおけるブリッジ対策」などでフロー条件設定の要点を説明してきましたが、ここでは新機種に対応するためのフローはんだ付け条件設定のプロセスを説明します。
一般的に電気製品の試作ステップは、「ハンドメイド⇒技術試作⇒プリプロダクション⇒量産」のプロセスになり、各試作プロセスを通じて、はんだ付け条件設定、はんだ付け品質改善、基板設計完成度向上を図っていきます。
新機種のフロー条件を決める際には、試作ステップから条件を決めるようにすると良いでしょう。まず各種電子部品を類似基板の適当な条件ではんだ付けして電子部品を固定します。次に所定場所に熱電対を取り付けてP/H~はんだ槽の連続した昇温プロファイルを測定してP/H温度やDip時間等が所定のスペックに入るように調整します。その際には、噴流波形状、浸漬深さ、コンベア速度など調整してフロー条件を最適化します。次に最適条件にて、はんだブリッジや未はんだ、TH上がりを確認してOKであれば、この条件が量産条件となりますのでDip testerを用いて、熱電対貼付基板との相関性を取るようにします。そして、日々の条件管理ではDip testerを用いて管理すると良いでしょう。
①熱電対の貼り付け:必要に応じて以下の部位に熱電対を貼り付けます。
Dip面のレジスト上が基本の測定ポイントになりますが、弱耐熱部品や
TH上がり難い部品ではそれぞれ熱電対を貼付して昇温レベルを測定します。
・Dip面レジスト上 ・弱耐熱部品のDip面接合部及び部品の素子内部
・TH部の部品面ランド ・部品面レジスト&SMDの接合部
・スルホール上下部のランド(TH上がり難の場合)
②熱電対貼り付けの要点
・測温部を露出させて進行方向に向けて設置する
・リード部の測定では熱電対±をリードに挟むように取り付ける
③フローはんだ付け条件設定の最適化の要点
フローはんだ付け品質(未はんだ、ブリッジ、TH上がり)を考慮した噴流形状とするのがポイントで
す。
・未はんだ:基板からはんだが吹き上がらない範囲で1次噴流を高めに
・ブリッジ:ピールバックポイントの角度を小さくまた、噴流速度を低めに
設定する(2次波を平坦に)と良いでしょう。
※基板や部品、パレット底面がノズルに接触しない範囲でギャップ
設定し、はんだ噴流速度を低めにフラット波にすることがポイント
・フラックス塗布量:未はんだが増加しない範囲、フラックス残渣がICTの
ピン接触を阻害しない範囲でフラックスの塗布量を多めに調整すると良い
でしょう。
・TH上がり:電子部品が熱損傷しない範囲でP/H温度を高めに、1次噴流が
吹き上がらない範囲で高めに、また、Dip時間を可能な範囲で長めに設定す
ると良いでしょう。
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