2024.08.27
車の市場不良について
今回は、筆者が間接的に経験した車の市場不良について、はんだ付け関連の事例を説明します。
- エンジンECU基板のQFPリード間にはんだ異物付着
2006年頃、とある顧客が某社の新車を購入後間もなくしてアクセルを踏んでも加速しない現象が発生。そのエンジンECU基板がデイーラー~完成車メーカー~ECU部品メーカー~当時筆者が在籍していたA社に回ってきて、観察した結果、なんとQFPのリード間にはんだ異物が付着していました。これがECU製造&検査工程や車の製造~検査段階では検出されずにすり抜けて市場に流出してしまったものです。振動や昇温によりQFPリード間が導通して不具合現象が発現したと考えられます。はんだ異物は微小な球状ではないのでリフロー時に発生するキャピラリーボールではなく、リフロー炉内で熱風に乗って付着したはんだ異物、チップ型セラミックコンデンサーのリフロー時に電極から飛散したはんだボールが運悪くQFPリード間に付着した・・・・等が推測されます。
これらのはんだ異物による不具合をデバッグするには、ECU製造&検査工程における画像検査の精度アップや短期エージング、電気検査の精度アップが求められます。内燃機関(ICE車)からハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)の増加につれECU搭載数の増加が見込まれECU基板のはんだ接合の重要性はますます高まると予想されます。
- ドアミラーECUのリード間にはんだ異物が付着
ある顧客が軽自動車を新車で購入し、乗り始めて車庫入れの際に時々ドアミラーが折りたためない事象が発生。これもディーラーでドアミラーECUが交換され、車載メーカー⇒ドアミラーメーカー⇒A社に届けられ、基板を観察したら挿入部品のリード間にはんだ異物が付着していて振動により時々リード間がショートして発生したものです。このECU基板はフローはんだ付け後に手はんだコテにより修正してあり、はんだ異物は手はんだコテ先から飛散したはんだ付着物でした。また、同じ基板にフラックス炭化物もあったのではんだコテ先のクリーニング管理の不備とみられます。車載用ECUでは手はんだ付け修正禁止といったルールがありますが、本ECUは重要部品ではないので対象外なのかもしれません。
以上のような事例では、生命にかかわるような最重要部品の不具合ではありませんが、はんだ付け工程における不具合が各種検査をすり抜けて市場に流出したものでありECU検査工程の強化が望まれます。
なお、はんだ付けの信頼性においては「はんだ接合部にはストレスを加えてはいけない」
「実稼働時におけるはんだ接合部の昇温には要注意」・・・・といった格言がありますが、今回事例のような異物の付着による不具合も稀に発生する可能性もあり、今後の車のEV化の進展を考えると各種ECUの総合的なはんだ付け信頼性はますます重要になると考えられます。
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