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コラム記事(No.33) 「プリント基板に起因する工程内不良」について

2023.11.11

「プリント基板に起因する工程内不良」について

コラム記事No.25「プリント基板の表面処理とはんだ付け性」で説明したように、ソルダレジスト工程後にはんだ付け性を確保するための表面処理としてプリフラックス処理工程があり、「ロジン系プリフラックス、はんだレベラー、化成被膜系(OSP処理)、金めっき」等など基板仕様やコストに応じて使用されています。これら各処理の基板では、一般的に基板メーカーから「保存期間」が決められていますが、プリフラックス処理上の不備、保存状態の影響によりはんだ付け時に「はんだ弾き(不濡れ)」などのトラブルが発生することがあります。また、多層基板では、製造プロセスや保存環境により層間剝離などのトラブルが発生します。以下に不具合事例を説明します。

 

①ロジン系プリフラックス基板

・プリフラ被膜の酸化劣化による不濡れ現象:フラックス溶剤との相溶性が悪く、不濡れが発生する場合

 があります。

・プリフラが厚い場合のチップ部品の接着強度低下:チップ固定用接着剤との

 相溶性が低く、プリフラが厚いとバリアーとなり強度低下が発生する場合があります。

 

②化成被膜処理基板(OSP処理:Organic Solderability Preservation

 技術開発が進み、両面リフロー+フローはんだ付けに耐えうる耐熱性を有するようになり特に大きな問

 題はないようです。過去に経験があるのは、ペースとはんだの印刷を失敗してペーストを拭き取り溶剤

 洗浄した場合にOSP被膜が溶出して銅箔が露出しパッドの不濡れ現象が発生したことがあります。

 

③はんだレベラー基板(HALHot Air Leveler

・不濡れ現象:レベラー被膜下のSnCu合金層の劣化(合金層の成長、酸化) 

 によりリフロー時にランドにおけるはんだ弾き現象や濡れ広がり不足が発生します。

TH上がり不良:レベラー被膜が薄い場合に、両面リフロー時にTH内部の酸化が進みその後のフローは

 んだ付け工程においてスルホールの上がり不良が発生したりします。

 HALの膜厚品質や基板保存条件には注意が必要です。

 

④金めっき処理基板

・接合強度の低下:金めっき処理基板は、はんだ付け時にAu被膜がはんだ中へ拡散溶出して下地のNi被膜

 とSnの合金層を形成します。なので、Sn-Cu接合部に比べて基板のたわみストレスに弱く、はんだ付け

 後の基板分割工程では要注意です。

・濡れ不良:Ni-Auのめっき工程にて不備がある場合に、下地のNi被膜の不濡れが発生することがありま

 す。この不濡れは「ブラックパッド」と言われており、Ni下地の酸化劣化と考えられているようです。

・接合強度の低下:上記の濡れ不良により、接合強度の低下が発生することがあります。超小型製品のAu

 めっき基板において、Auめっきパッドの濡れ不良により、チップ部品(C, R, Trチップ)が落下してし

 まい、セット内部でカラカラ音がする事象が発生したことがあります。

 

⑤多層基板の工程内不良

・層間剝離&白化現象:ブリスター(層間剝離)

 リフローはんだ付けやフローはんだ付け後に基板内部に層間剝離や白化現象

 が発生します。これらの原因には二つあって、基板メーカーの製造工程の不備(ドリル穴あけ時の精

 度、積層時の異物混入)による場合と基板保存条件の不備(吸湿)による場合などです。量産基板にお

 いて発生比率が比較的高く傾向的に発生する場合にはドリル孔あけ時の要因が高いです。積層時の異物

 混入はスポット的に発生する場合です。また、基板の吸湿による場合は、基板製造工程から顧客へ納入

 されるまでの吸湿、また、生基板のままビニール梱包などで長期保存された場合に基板内部にランダム

 に発生します。これらを防止するにはLSIの梱包と同様なアルミ防湿パックが必須です。また、コラム

 記事㉗で説明したように基板吸湿による諸現象(はんだスプラッシュ、ブローホール等)も発生しま

 す。特にブローホールやスプラッシュはリフロー後の保管状態により吸湿すると発生しやすくなります

 のでフロー工程までの保存環境に要注意です。

 

コラム№25 はんだ付け工法について|プリント基板の表面処理とはんだ付け性なら太伽 (taiga.co.jp)

 

コラム№27 プリント基板の吸湿による諸現象について|はんだ付け治具(フローパレット・ディップパレット)なら太伽 (taiga.co.jp)

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