2023.07.08
「電気製品の市場不良(Ⅱ)」について
今回はコラム記事(No.6)に続いて筆者が経験した電気製品の市場不良(はんだ付け部の不良)について説明します。
①直管型LEDランプの不点灯
新ビルの完成に伴い全館の照明をLED化することになりコストの観点から2フロアーのみ中国製直管型
LEDランプを採用することになりました。ところが、稼働して約1年後から不点灯がポツポツと出始め
るようになりLEDランプ基板と制御基板の調査を行いました。制御基板のはんだ接合部にクラックなど
外観異常はなく、ランプ基板の連結部にはんだクラックが認められました。直管型LEDにはランプ基板
に1枚構成、2枚構成があり、当該基板は2枚構成となっており、その接続はジャンパー線を用いて手は
んだ付けする構造でした(写真参照)。連結構造よりも手はんだ付け状態(ジャンパー線が短く、はん
だ量も多く、濡れ具合も不適当)による要因と考えられます。ランプのon-offの繰り返しによる温度サ
イクルによってはんだ接合部にストレスが集中してクラックになったものと考えられます。これらの中
国製LEDは日本の販売会社へクレームするとともに不点灯になり次第日本製ランプに取り換えたのは言
うまでもありません。「たかが手はんだ付け、されど手はんだ付け」・・・であり、やはり手はんだ付
けであっても仕上がりが悪いと信頼性に影響するという事例でした。
②直管型LEDランプの制御基板(ECU)のはんだクラック
ランプメーカーの品質担当者から担当営業に「発売して数カ月して市場不良(不点灯)が多発し
ているが、貴社のはんだ材料に原因があるのでは?」・・・・といったクレームがありました。ま
ず、材料起因のトラブルは使用用途の間違い以外は考えられないので調査のため不具合品を提供
して頂きました。不具合となったECUを観察したら「リフローしたチップ抵抗の端子とはんだ付
け部が灰黒色化してクラックが認められました(添付写真)。また、フラックス残渣も変色して
おりました。直感的に、これは稼働状態にてこのチップ抵抗の定格容量不足により昇温(100℃
~)してしまい、LEDランプon-offの温度サイクルによりクラック発生~断線したものと判断しま
した。原因は設計時点での昇温など検証不足ということでランプメーカーへはこの内容を報告し
てチップ抵抗容量変更の改善をアドバイスしました。後日、製造工場を訪問する機会があり、確
認したらチップ抵抗が変更されていました。電気製品の信頼性を確認する場合には、試作段階に
おいて製品の実稼働状態を想定した条件や加速条件等におけるはんだ接合部の評価も重要である
という事例でした。
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