2023.02.25
「フローはんだ付け装置の変遷(Ⅱ)」について
第二世代はんだ槽(1985年~2000年:Sn-Pb)
チップ部品混載実装工法の対応として1980年代にM社より傾斜型W-waveはんだ槽が開発され各はんだ槽メーカーに広まった。はんだ槽メーカーにより特徴のある噴流ノズルの開発が進みました。1次噴流:噴流ノズル内にパンチングメタルを配置し、フラックスや基板からのガスを追い出して未はんだを解消する乱流を形成するのが一般的です。
※水平搬送型はんだ槽の出現:チップ混載基板用としてキャリアレス傾斜型W-Wave方式はんだ槽が開発され
てから数年後、多足リード部品の配置パテント回避の目的及びブリッジ低減の目的により水平型はんだ槽が
開発され当時は注目されたものです。
※水平型はんだ槽の特徴
・1次:パンチングメタルによる乱流噴流(W-Waveと同じ)
2次:Jet-Wave(ブリッジ対策)
・はんだ槽45度配置
・Dip時間が短くTH上がりに難点、配置パテント消滅などからPbフリー
導入前に姿を消しています。
※キャリアレス傾斜型W-Wave方式はんだ槽の模式図
第三世代はんだ槽(2000年~:Sn-Pb⇒Pb-freeへ)
・製品:民生機器(チップ混載)、産業機器基板、 車載などall category
・形式:キャリアレス傾斜型W-Wave方式 チップ混載基板対応
1次槽:乱流波 2次槽:傾斜噴流型(1次、2次ノズル間近接)
P/H:シーズヒーター&熱風方式 N2フルチャンバー spray fluxer
傾斜角度:4~5度(近年、2度~3度の採用事例あり)
はんだ槽の食われ対策:窒化処理
以上の様に、電子部品や実装構造の進展と共にフローはんだ付け装置も進化してきています。画期的に進化したのは、やはり、チップ部品接着剤仮止めフローはんだ付け工法が開発され、この工法に対応したキャリアレス傾斜型W-Wave方式はんだ槽と言えます。そして、Pbフリーはんだの導入に伴って各種の改良が加えられ現在に至っています。近年では、静止型はんだ槽を用い完全自動化したはんだ槽がFA社にて開発され民生、車載機器等へ導入が進んでいるようです。その特徴は、静止はんだ槽ですが内部に攪拌機構があり、はんだ液面高さ制御に優れる。Dipパレットを使用しQRコード付与により各種条件設定&数値管理及び混流生産が可能、静止型によりドロスの発生が少ないといった優れもののようです。当社も専用のマスクパレットを供給しております。また、先般のインターネプコン2023では、S社から「低融点はんだフローはんだ付け工法」がPRされていました。低融点はんだの特性に合わせて噴流ノズル部やドロス回収部が改良されています。なお、低融点はんだ対応のマスクパレットは当社で提供しています。今後、SDGs対応の目的で採用する民生機器メーカーが増えることが予想されます。
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