2023.01.14
「はんだ付け部の市場不良(Ⅱ)」について
コラム記事⑮に引き続いてはんだ付け部の不良について筆者の体験事例を記述します。いずれも実装後のス
トレスによりはんだクラックが発生して導通不良になったもので典型的な「初期不良」です。
① 小型端末機器のはんだクラック(写真あり)
小型の両面スルホール基板に部品を手挿入してフローはんだ付けを行い、はんだ付け後に長めのリードを手切りするという極めて原始的な実装工法基板において、筐体に組み込む際に裏ブタには保護用のスポンジが配置されてはいるが、リード長が長いために部品側へストレスが掛かり組付け後1年前後でTH接合部が抜けてしまった不良です。両面基板のスルホール接続により1年持ったと考えられ、片面接合でしたら1~2カ月でクラックがが生じたと推測されます。この不良はリード長さカットミスによる製造不良となります。
② ヘッドフォンジャックのはんだクラック(写真無し)
リード型挿入型HPジャックをリフロータイプへ変更する際にリードをカットしハウジング近傍にL字に曲げて端子とした構造で、HPプラグの挿入ストレスにより発生したはんだクラックです。筐体との勘合部は補強をしてはいますがHPプラグは挿入したまま放置状態が多いことから端子部へストレスが常時加わり市場出荷後1~2カ月ではんだクラックによる接続不良となったものです。その後HPジャックの接点部とはんだ付け部の構造を見直してHPプラグ挿入状態でもストレスに余裕がある構造として解決しました。これは、リフロータイプ化する際に単純に端子を曲げて構成すれば済むといったことではなく、やはり「はんだ接合部へはストレスを加えてはいけない」ということでしょう。
③ 直管型LED照明基板のはんだクラック(写真あり)
以前、ある新築ビルの照明において、全フロアーに直管型LED照明を採用しましたが、コスト対応ということ
で2フロアーのみ中国製LED照明としました。ところが、使用開始後1年後から不点灯がポツポツ発生し始め
まして内部を開封し調査したところ、INV回路は問題なし、LEDチップを搭載した照明基板の接続部にはんだ
クラック認められました。この直管型LEDは基板が2分割なっていてジャンパーワイヤーを用いて手はんだ付
けにより接続された構造で、ジャンパーワイヤーが短く接合部構造もはんだ量が多く熱膨張収縮に弱い構造で
した。やはり、信頼性的に考えれば1枚基板構成の方が接続部分を省略できるので信頼性が高いと考えれられ
ます。ということで、不点灯になったLEDランプは随時日本製に切り替えたのは言うまでもありません。
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