2022.12.16
「リフローはんだ付け工程の不具合と対策」について
リフローはんだ付けプロセスにおいては、フローはんだ付け品質と比べて品質レベルは1/100~1000ppm
(部品点数を母数)でありかなり安定してはいますが、装置条件、基板設計(メタルマスクも含む)、部品要
因によるはんだ付け不良が発生します。ここでは特異な不良を含めリフローはんだ付け不良の事例をいくつ
か記述します。
① はんだブリッジ
SOP、QFP及びBGA(CSP)パッケージなどの狭ピッチ部において条件設定の不備によりはんだブリッジが発生します。ポイントは、ランド設計、メタルマスク開口面積、マスク厚みを適正化すると共にペースト印刷条件の適正化、狭ピッチ用ペーストの選定も重要です。
② チップ部品電極の濡れ不良
各種SMD部品のめっき電極(Sn、Sn-Bi、Au-Niなど)の状態によっては濡れ不良が発生し適正なフィレットが形成されない現象が生じ、特に海外メーカーの部品に発生する傾向があります。要因は電極のめっき品質にあり、めっき厚みが薄く保存時に酸化劣化する場合が多いです。部品の納入仕様書に「はんだ濡れ性」「電極構造とめっき厚み」などの記載があるかどうか確認すると良いでしょう。
③ ボール電極の未融合
液晶TVに関して、日本メーカーの全盛期2000年代前半にはBGA-LSIが多用され、ボール電極とペーストが未融合状態(枕現象:head pillow)となる現象が多発し大問題となりました。要因はボール電極表面の酸化劣化とペーストの活性力とされ、その後、BGAのバンプ形成後の処理技術改善が進み、またソルダーペーストの濡れ性も改良されたことからこうした不良も発生しなくなりました。その後、BGAパッケージは産業機器や車載機器のECUにも実装が増加しています。
④ 異物付着によるショート(はんだスプラッシュ、リフロー炉内の異物)
積層セラミックチップコンデンサー等のめっき電極において、ペーストはんだが溶融し電極上部へ濡れ上がる際にめっき電極の性状によりはんだが飛散して隣の部品とショートする場合があります。要因は部品電極の品質(ポーラス、汚れなど)とみられます。また、リフロー炉内には金属異物やはんだ屑が存在し熱風に乗ってQFPのリード間に付着してショートする場合もあります。対策は、リフロー炉のメンテの際に炉内のクリーニング(掃除機使用)を行いメンテの最後に粘着テープを貼付した基板を加熱無し&風速Maxで流動して異物の付着を確認すると良いでしょう。
⑤ HAL(Hot air leveler)処理基板&Auめっき基板の濡れ不良
プリント基板の表面処理にはロジン系プリフラックス処理(民生機器用片面基板)、OSP処理(民生機器、車載機器、産業機器用の片面及び両面リフロー基板)、HAL処理(産業機器基板の片面&両面リフロー基板)、金めっき処理(HAL処理と同様、接点のある基板)などがありますが、それぞれ実装基板の特性に応じて使い分けされています。HAL処理基板ではペーストがランドに十分に濡れ広がらない状態が稀に発生することがあります。いわゆる、De-wettingと言われるもので両面リフロー+マスクパットフロー工法では、リフロー面の濡れ不良とフロー面のフィレット不良(フィレット無し、スルホールはんだ上がりNG)が発生します。要因はHAL処理の不備による酸化劣化やはんだ被膜下の合金層(Cu-Sn)の成長と考えられます。
また、金めっき基板は保存性や濡れ性に優れますが、めっきの品質(特にNi被膜)によっては不濡れ現象が発生する場合があり要注意です。
以上、リフローはんだ付けにて生じる不具合をいくつか紹介しましたが、各社のリフローはんだ付けの不良
率は流動基板の実装密度(微小部品、狭ピッチ部品の有無)、基板サイズなどにもよりますが、シングル
ppm~数十ppmのようです。リワーク作業は難しいので各種不良要因を潰していき直行率を上げる必要が
あります。
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