2022.10.22
「電子部品とはんだ耐熱性」について
電子回路を構成する各種電子部品はフローはんだ付け、リフローはんだ付けなどの工法によりプリント基板にはんだ付け実装され制御基板として機能します。2000年以降、Pbフリーはんだの導入によりはんだ付け条件が厳しくなってきたことから電子部品のPbフリーはんだ耐熱性の改善が進みました。電子部品は実装形態により挿入部品、表面実装部品などに大別され、それぞれはんだ耐熱性の規格が決められています。電子部品のはんだ耐熱性としてJISやJEITAの規格で決められています(※1)。
これらの規格にはリード部品、表面実装部品、各種パッケージLSIなど多岐にわたっています。概ね、フローはんだ付け付けにおいては260℃,10secはんだ付けした後の機械的&電気的特性に問題ないこと、リフローはんだ付けでは所定の温度プロファイル条件にてはんだ付け後の特性に問題ないこと・・・・となっています。
Pbフリー化に伴い多層基板や銅箔の厚い強電基板においてはスルーホール
上がり難くなっており、はんだ付け条件が260℃、10secと厳しくなっています。一方では、これらの条件に合わないリレー、フィルムコン、LED等耐熱弱部品があります。
はんだ付け時の熱に弱い部品についてはそれぞれ各部品メーカーがはんだ付け推奨条件として決めているのが一般的で、部品の納入仕様書にはんだ付け性やはんだ耐熱性及びはんだ付け推奨条件として詳細が記載されています。
はんだ付け時の熱に弱い部品(耐熱弱部品)には構造的かつ構成材料的なものがあり、下表に耐熱弱部品の事例を示します。耐熱弱部品には自社のはんだ付け条件に合わない場合が多々ありますので部品メーカーと個別にはんだ付け耐熱性に関して協議&検証してはんだ付け条件を設定する必要があります。
部品メーカーは部品の耐熱特性的に余裕を見てはんだ付け条件を設定しているので自社のはんだ付け設備や条件を開示して協議すると良いでしょう。
① リレーの不具合事例:気密性低下によりシリコーン低沸点成分の侵入し接点不良、ベースの熱変形により接点圧が変化し耐久性が低下
② LEDの不具合事例:実装時のクリンチストレスがあるとフローはんだ付け時に素子本体が軟化しボンディング部へストレスがかかり剥離して不点灯となる場合がある。対策はボトム挿入しない、自動挿入しないで素子本体に台座(スペーサー)を取り付ける実装構造がお勧めです。
耐熱弱部品の過熱対策として、部品本体の熱容量を増して部品の昇温を抑制する手法があり、具体的には、耐熱弱部品本体を耐熱樹脂などで覆うと昇温を抑制できます。当社のマスクパレット材料(エポキシ樹脂)を加工して過熱抑制治具として数社に使用されています。
※電子部品のはんだ付け性&耐熱性に関する規格
- JIS C60062-2-58
『『環境試験方法 ―電気・電子― 表面実装部品(SMD)のはんだ付け性、電極の耐はんだ食われ性及びはんだ耐熱性試験方法』
(JIS:Japanese Industrial Standards 日本工業規格) - JEITA EIAJ ED-4701/301A
『半導体デバイスの環境及び耐久性試験方法(強度試験Ⅰ)』 試験方法301 『はんだ耐熱性試験(SMD)』
(JEITA:Standard of Japan Electronics and Information Technology Industries Association 電子情報技術産業協会規格) - IPC/JEDEC J-STD-020
『Moisture/Reflow Sensitivity Classification for Nonhermetic Surface Mount Devices』
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