2022.09.10
「車載電装品の市場不良」について
一般的に「信頼性とは」、「その製品が、使用期間中、故障しないで稼働する性質や確率のことを言います。」製品の信頼性が高いとは「故障しないで使用できる期間が長い」ということができます。ここでは筆者の体験から自家用車の電気系統の信頼性について考察したいと思います。
自家用車のECU故障について
車の寿命設定は自動車メーカーによって異なるとは思いますが、車メーカー勤務の友人から概ね15年と聞いたことがあります。某局のドキュメンタリーで放送されましたが、1985年~1990年代にかけてエンジンECUの不具合により高速道路における暴走トラブルが特に輸入車において多発したことがあります。アクセルを離しても車が勝手に加速するといった現象で、主因は半導体、ノイズ、はたまたはんだ接合部の問題・・・・とみられ真因は闇の中かと思われます。
当時のエンジンECUの回路構成には個別半導体やアナログICが使用されておりドキュメンタリーでは半導体に要因があるようなレポートでした。現在では、エンジンECUの回路構成がデジタル化しQFP-ICからBGAタイプの採用が進みその信頼性は格段に向上していると思われます。また、ECU関連の不具合ではありませんが、昨今のトラブルとして、アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走事故が発生していますが、踏み間違い時の加速抑制装置(急発進防止装置)の装着が進んでおり発生そのものが減少している様です。
次に筆者の体験事例としてエンジンECUの不具合ではありませんが、マイナーなトラブル事例を紹介します。10年目のU11ブルのパワーウインドウが時々動かなくなったのでSWユニットの内部基板を確認しましたら、紙フェノール片面基板に実装されたミニトランスのはんだ接合部にクラックが発生していました。これは振動とミニトランスの重量及び片面接続構造によりクラックが発生したもので再はんだして動くようになりました。片面基板ではなくて両面基板のスルホール接続構造であればクラックの発生はなかったと思います。
また、12年目に同車が走行開始後30分位でエアコン吹き出し口から硫酸臭がするようになりました。BATTを調べたら高温になっていて希硫酸の蒸気がエアコンの吹き出し口へ外気導入されていたことが分かりました。オルタネーターの発電電圧を調べたら19V程あり(正常電圧は14V前後)ICレギュレーターの不具合による過充電とみられます。不具合の内容はわかりませんが、リビルト品のオルタネーターに交換してその後16年、18万Kmまで使用できました。
エンジンを含めメカ部品などは全く問題ありませんでしたが、やはり電子回路関連のマイナートラブルは避けられないのかなと考えられます。車の寿命設定は自動車メーカーによって異なるとは思いますが、メカ部品の劣化とECUなどの電装品の寿命(信頼性)には差異があり、やはり、「はんだ付け部の劣化」がkey pointと考えられます。
はんだ付けの信頼性においては
「はんだ接合部にはストレスを加えてはいけない」
「実稼働時におけるはんだ接合部の昇温には要注意」・・・・といった格言があり、
今後の車のEV化の進展を考えると各種ECUのはんだ付け信頼性はますます
重要になると考えられます。
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