2022.07.23
「はんだ付けにおけるN2の効果」について
Pbフリーはんだの導入に伴い、Sn-Pb共晶はんだに比べて濡れ性が劣ることから窒素雰囲気(低酸素濃度下)を使用するはんだ付け装置が増加しています。
■窒素雰囲気はんだ付け装置の開発導入経緯を記述しますと、Sn-Pbはんだ時代には、産業機器用基板などはフローはんだ付け後にフロン系溶剤で基板洗浄していました。しかし、オゾン層破壊の問題からフロン系溶剤の製造&使用禁止(フロン規制1996年全廃)となったことで実装基板の無洗浄化の目的で低残渣フラックスを使用した窒素雰囲気のはんだ付け装置が開発導入され無洗浄化が進展しました。その後、Pbフリーはんだの導入に合わせて、2000年ごろからN2フローはんだ付け装置、N2リフロー装置の開発導入が一気に進みまして現在では各業界に広く使用されています。民生機器ではN2フロー装置が~数%、N2リフロー装置が50~70%、産業機器や車載機器ではN2フロー装置が60~80%、リフロー装置がほぼ100%の使用比率とみられます。以下に実用化の経緯、N2の効果、窒素供給方法の概要を記述します。
※N2はんだ付け装置実用化の経緯
①1990年~1995年
フラックス洗浄液「フロン全廃’96年」を契機にはんだ付け基板の無洗浄化への取り組みとして
⇒低残渣フラックス化+窒素雰囲気フローはんだ付け装置、スプレーフラクサーが実用化
②2000年以降
Pbフリー化に伴い、はんだ濡れ性をカバーするため N2フロー&リフロー装置が実用化
③ フロー&リフローはんだ付け装置におけるN2の効果
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フローはんだ付け |
リフローはんだ付け |
効果 |
①はんだ酸化物の減少 ・大気比1/3~1/5(噴流条件による) ②はんだ付け品質改善(ブリッジの低減) ・大気比5~40%改善(基板設計による) ③ スルホール上がりの改善 ④ フラックス残渣の低減 大気比1/3 ⇒ICTコンタクト性改善 |
①基板酸化抑制(片面&両面リフロー+フロー) ②部品電極酸化低減 ・フィレット改善 ・赤目の減少 ③はんだボール低減 ④フラックス残渣広がり ⇒ICTコンタクト性改善
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残留酸素濃度事例 |
① 民生機器 殆ど大気はんだ付け ② 車載機器 1000~5000ppm ③産業機器 1000~5000ppm ※導入当初:100~1000ppmであったが、N2のコストと効果の観点から現状値となった。
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① 民生機器 殆ど大気リフロー 両面リフロー化によりN2導入増加 ② 車載機器 1000~5000ppm ③ 産業機器 1000~5000ppm ※半導体関連(ボールリフロー)は100ppm以 下、100~200ppmなど
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④ 窒素供給方法
次表の通り窒素発生装置または液体窒素タンク方式があり、それぞれに
メリット&デメリットがあり顧客ニーズにより採用しています。
PSA(N2発生装置) |
N2タンク供給 |
・装置コスト 400~600万円 ・メンテ費用 100万円~/Y ・消費電力量 |
・屋外タンク、気化器設備など建屋までの配管はガス会社負担が多い ・N2ガス代 40~60円/m3 |
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