2022.06.25
「フローはんだ付け用マスクパレット」について
1970年代後半から小型オーディオ製品(ラジオ、カセットテープレコーダーなど)に導入が始まったチップ部品実装(SMT)は、実装工法の進展と共にオーディオ&映像及び携帯などのポータブル機器へ採用拡大し、やがては車載機器や産業機器への採用が進んできました。当初のSMTは基板のDip面に3216型C,R,Trなどのチップ部品を接着剤で仮固定し、リード部品を一緒にフローはんだ付けするチップ混載実装工法がHA機器やオーディオ機器に採用されていました。1980年代中頃からリフロー工法が開発導入され、某社小型オーディオ機器にアルミ電解チップ、スライドSWなどをリフロー化した両面リフロー工法が開発導入されて以来、SMTは片面リフロー+チップ混載工法、両面リフロー+フロー工法として各業界の制御基板に導入が進みました。
特に、車載機器や産業機器用制御基板の実装形態は回路構成上、両面リフロー+フローはんだ付け工法が多く採用されるようになりました。このようにSMTの進展に伴い、チップ部品のサイズも3216⇒2125⇒1608⇒1005⇒0603⇒0402⇒0201といったように微小化が進んでいます。当初、両面リフロー+フロー工法では、下面のチップ部品は接着剤で固定するかマスキングテープで保護する方法が採用されていましたが、フロー時の安定性や工数削減のためマスクパレット工法が採用されるようになりました。
■弊社はマスクパレットの黎明期からフロー用マスクパレットを開発しており、マスクパレットに関して様々なノウハウを蓄積しております。現在では、各種業界のフローはんだ付け工法に使用されていまして多数のお客様先で弊社のマスクパレットをご使用いただいております。
現在、マスクパレットを採用するお客様は、車載機器、各種産業機器、輸送機器など多岐にわたっており、パレットの構造は多様化、複雑化してきています。フロー用パレットはニーズに応じて以下のタイプがあり、制御基板の実装形態やニーズに応じて使用されています。なお、マスクパレットの材料は高耐熱エポキシ樹脂基板や無機フィラー充填エポキシ樹脂板が使用されています。
① マスクパレットタイプ :下面のリフロー部品をマスキングして部品面から挿入したリード部品を選択的に
フローはんだ付けします。両面リフロー基板にリード部品をフローはんだ付けする場合に適します。(断面図
下記参照)
② 全面開放型パレット:Dip面をマスクしないで基板の端部を抑えて基板全面をDipするタイプ。基板の4面支
持するのでDip時の安定性が良いです。また、搭載部品の重量が大きい場合には基板の反りを低減するために上
面から基板を吊る構造もあります。
③ ユニバーサルパレット(マルチ可変式):開放型パレットの一種で、基板のサイズに応じて調整可能な可動
バーを具備する形状であり、異種基板の同時流動も可能です。下面はマスクなしで全面Dipします。